京都・太秦の体験型テーマパーク「太秦映画村」は、映画・ドラマの撮影所を核とし、 江戸の街並みを再現したオープンセットやアトラクション、時代劇ショーで知られる施設です。同施設は公式サイトのリニューアルを機に、来場者へ配布していた紙のマップを見直し、メタマップのデジタルフロアマップへと移行しました。紙という静的な媒体では、頻繁な情報更新や 多言語対応にどうしても限界があり、印刷費や作業工数の負担が課題となっていました。
今回は、なぜ紙のマップでの運用を見直したのか、映画村向けにどのようなマップへ仕立てたのか、導入後に運用がどう変わり、 これから何を進めるのかを、営業部 宣伝広報課 チーフプロデューサーの喜多幸寛様に伺いました。

なぜ、紙のマップ運用を見直したのか
頻繁な情報更新と多言語対応に紙では対応しきれず、刷り直しの印刷費と作業工数が運営の負担になっていました。
- デジタルマップを導入する前は、どのような課題がありましたか
映画村では、来場されたお客様に紙のマップをお配りしていました。ただ、紙という静的な媒体では、頻繁な変更と多言語運用に耐えられない、という課題がありました。具体的には次のとおりです。
店舗やエリアの情報に修正が入るたびに、すべての紙マップを刷り直す必要があり、印刷費と作業工数がかかる
訪日のお客様向けに複数言語の版を用意しており、言語の数だけ刷り直しが発生する
公式サイトのリニューアルに合わせて、紙のマップの運用も見直す必要があった
紙である以上、情報が変わるたびに刷り直しは避けられず、変更が多いほど作業工数と印刷費が積み上がっていく構造でした。とりわけ多言語の分は、言語の数だけ刷り直しが重なり、 負担が大きくなりがちでした。この負担をどう軽減するかが、見直しの出発点でした。
- 導入の決め手と、社内での受け止めを教えてください
リニューアルにあたり、他のテーマパークの取り組みも参考にしながら、紙のままでは頻繁な変更に耐えられないと考え、早い段階からデジタルマップへの切り替えを前提に検討を進めました。いくつかのサービスを比較し、費用は他社より高かったものの、昼と夜でマップを切り替えられることや複数階の表示に対応できることなど、映画村がやりたいことを網羅できる点を重視しました。比較検討や社内の予算調整には約1年をかけ、導入を判断しています。
映画村は50年の歴史のある施設で、ベテランのスタッフも多くこれまでの業務のやり方を大切にする風土がありました。マップのデジタル化には現場から慎重な声もありましたが、リニューアルを機にデジタルの仕組みを積極的に取り入れ、運営にかかるリソースを減らしていこうという流れが後押しになりました。最終的には、紙を完全にはなくさず最低限の配布を続けるという落としどころを見つけ、無理のない移行ができました。
導入にあたっては、公式サイトのリニューアルに合わせてデジタルフロアマップをサイトに組み込み、情報の更新をデジタル側へ集約しました。紙のマップは、スマートフォンをお持ちでないお子様や、持ち込みが禁止されている修学旅行生などのために、簡易的な情報のみを載せたものを最小限の部数だけ残す形にしています。


●太秦映画村(村内ガイドマップ): https://eigamura.com/about/map
デジタルマップの導入にあたり、配布する紙のマップは5種類から1種類へ削減、印刷する言語も5言語から日英2言語へ削減できました。言語ごとに版を分けて刷る必要がなくなり、刷り直しの頻度そのものが下がったことで、印刷費と制作にかかる工数の圧縮につながっています。

広い園内で、目的地の場所や行き方が分かりにくい
園内にアトラクションや店舗、複数階の施設が点在し、来場者が目的地の場所や行き方を把握しづらい状況でした。
- 映画村向けに、どのようなデジタルマップに仕立てたのですか
映画村は広い敷地に、オープンセットやアトラクション、飲食や物販の店舗、複数階の施設が点在しています。とくに時間帯によりアトラクションの営業状況が複雑に変わるため、初めてお越しになる方には分かりにくい面がありました。園内をスムーズに回っていただくための案内が欠かせませんでした。

映画村では、メタマップの標準機能をベースに、施設ならではの見え方を作り込みました。マップのグラフィックは、 昼の全体像、夜のバージョン、そして商業施設「パディオス」の平面図をそれぞれ制作しています。当初は 従来の紙マップにあった江戸情緒のあるリアルなタッチも検討しましたが、デジタルでの見やすさを優先し、簡略化したデザインを採用しました。

あわせて、閲覧機会の創出にも取り組みました。メタマップ側からの提案で「京都観光デジタルマップ ~Kyoto Smart Navi~(京スマ)」とも連携しています。また、プロモーションでは太秦映画村公式サイトへの誘導を優先し、そこからデジタルマップを見てもらう導線にしました。

●京都観光デジタルマップ ~Kyoto Smart Navi~(京スマ)
https://platinumaps.jp/d/kyoto-smart-navi
仕立てたマップは、来場者に着実に使われています。2026年3月の公開から8月上旬までの約5か月間で、マップは約14万PV・約4万人にご利用いただきました。そのうち閲覧の約8割はスマートフォン経由で、館内の道案内にあたる経路検索も約800回使われています。ダッシュボードでは「からくり忍者屋敷」が 最も見られたスポットとして表示され、来場者の関心も可視化されています。

- 導入後、情報更新の運用はどのように変わりましたか
施設のリニューアルに伴い、店舗の入れ替えやエリアの変更、営業時間の変更など、マップに反映すべき情報がいろいろありました。紙のマップでは反映のたびに刷り直しが必要で、更新のスピードが追いつきません。更新の負担をどう軽くするかは、移行を進めるうえで欠かせない論点でした。
導入にあたり公式サイトの情報とデジタルマップをシステム連携し、サイト側の情報を更新するとマップ側にも自動で反映される運用になっています。このスクレイピングの仕組みは運用効率面でとてもスマートです。さらにマップは昼・夜の2バージョンを用意し、営業するエリアや入口が変わる昼と夜で、時間帯に応じて自動的に切り替わるようにしています。

管理画面(CMS)の操作や更新は宣伝広報課のメンバーのみで対応しています。紙マップの制作オペレーションも劇的に削減できたため、少人数でも無理なく運用を続けられています。


- 待ち時間や混雑への対応、そして今後の活用を教えてください
これまで映画村では、アトラクションの待ち時間を各アトラクションの入口でしか表示しておらず、来場者が館内全体の混雑状況を一括で把握することができませんでした。とくに繁忙期には、どこが混んでいてどこが空いているかが分かりにくく、回遊のしづらさにつながっていました。
メタマップには待ち時間や混雑状況をリアルタイムに配信できる仕組みがあるので、この機能を活用してアトラクションの待ち時間表示と混雑情報の配信をこの夏から順次開始する予定です。これにより、来場者が館内の「今」を見ながら回遊できる状態を目指します。

このほかにも、活用したい機能があります。テナントの飲食店のメニューをスポット詳細に表示することや、クーポンの配信、デジタルスタンプラリーといった回遊施策も、今後のキャンペーンに合わせて検討していきます。あわせて、ダッシュボードで見られる閲覧数や検索キーワード、人気スポットのデータを、館内のご案内や 施策の検討に活かしていければと思います。導入前に実現したかったことはひととおり形にできたので、ここからはデータを使いながら、来場者の体験をさらに良くしていきたいと考えています。
ありがとうございました。
メタマップ担当営業 コメント
施設のリニューアルという節目に合わせ、紙からデジタルへの移行と多言語対応、そして映画村ならではのグラフィック制作までをまとめて進められた事例です。今後は待ち時間・混雑情報の配信や、キャンペーンに合わせた施策のご提案を続けてまいります。
株式会社東映太秦映画村様 会社概要
京都市右京区に本社を置く、体験型テーマパーク「太秦映画村」の運営会社。
1975年9月に設立され、東映株式会社のグループとして映画・テレビ時代劇文化を活かした事業を展開。
